肩・肘の痛み
肩・肘の痛み

肩関節周囲炎は、いわゆる五十肩と呼ばれ、中高年に多く見られる肩の痛みの原因です。肩関節を包む組織が加齢や炎症によって硬くなり、腕を上げる動作が制限されることが特徴で、夜間に痛みで目が覚めることもあります。日常生活に支障が出る場合もありますが、無理のない範囲でのストレッチやリハビリ、必要に応じて消炎鎮痛薬や注射、温熱療法などを組み合わせることで、徐々に関節の可動域を回復させることができます。
野球肩は、投球動作など腕を繰り返し使用するスポーツ選手に多く見られる症状です。肩関節や筋肉、腱に過度な負担がかかり炎症や損傷が起こることで、投球時や投球後に痛みや可動域制限を感じます。原因は投球フォームの乱れや使いすぎ、筋力不足などで、治療は安静や炎症を抑える薬・注射、リハビリによる筋力強化やフォーム改善が中心です。再発防止のためには、スポーツ活動の調整も重要です。
肩腱板断裂は、肩関節を安定させる腱の集合体である腱板が部分的または完全に断裂した状態です。加齢や外傷、繰り返しの使用によって起こることが多く、腕を上げられない、力が入りにくい、夜間に強い痛み
を感じることがあります。部分断裂の場合はリハビリや注射など保存療法で改善を目指しますが、重度の場合は手術による腱板修復が必要になることもあります。早期診断と適切な治療が、肩の機能維持に重要です。
肩関節脱臼は、肩の関節が本来の位置から外れてしまう状態で、外傷によって発生することが多く、激しい痛みと変形、腕が動かせないことが特徴です。治療は整復(関節を元の位置に戻す処置)を行い、その後は固定と安静を保ちます。再発防止のためにリハビリで筋力を強化し、必要に応じて手術を検討します。脱臼を繰り返すと関節が不安定になりやすいため、早期治療が大切です。
肩こりは、首から肩にかけての筋肉が緊張して血流が悪くなることで痛みや重だるさを感じる症状です。長時間のデスクワークやスマートフォンの使用、姿勢の悪さが主な原因で、肩や首のこりだけでなく頭痛やめまい、腕のしびれを伴うこともあります。原因として、単に首や肩の筋肉のこともありますが、上記の肩関節や、頸椎症に伴うこともよくあります。治療は薬や温熱療法、ストレッチやリハビリ、姿勢改善などを組み合わせて行います。症状が長引く場合は、頚椎や神経の病気が隠れていることもあるため、詳しい検査が必要になることがあります。

変形性肘関節症は、加齢や肘への繰り返しの負荷によって肘の関節が変形し、関節軟骨がすり減ることで痛みや動かしにくさが生じる病気です。スポーツや重い物を持つ作業、過去の骨折や脱臼の後遺症なども発症の原因として関係します。症状としては、肘の曲げ伸ばしの際に痛みを感じたり、こわばり感や腫れを伴ったりすることがあります。進行すると日常生活で物を持つ、肘を曲げるといった動作に支障をきたすことがあります。
軽症の場合は、肘に負担をかけないように安静を保ち、痛み止めの内服やリハビリで関節の可動域や筋力を維持します。また、日常生活で肘に負担をかけない工夫も大切です。
上腕骨外側上顆炎は、肘の外側の骨の出っ張り部分に炎症が起こる病気です。テニスのバックハンドなどで手首を反らす動作や、肘を伸ばす動作を繰り返すスポーツや作業で発症しやすいため「テニス肘」と呼ばれます。原因は、手首や肘の使いすぎによって腱に微細な損傷が起こることです。症状としては、肘の外側の痛みや、物を握ったときの痛み、手首を動かすと痛みが増すことが多く見られます。治療は、まず安静を保ち、痛みを抑えるためにアイシングや痛み止めの内服を行います。さらに、装具やテーピングで肘をサポートし、電気治療やリハビリテーションでストレッチや筋力トレーニングで腱や筋肉の回復を促します。重症の場合には、炎症を抑える注射や手術が検討されることもあります。
上腕骨内側上顆炎は、肘の内側に炎症が起こる病気で、ゴルフのスイングや重い物を持つ作業などで発症しやすいため「ゴルフ肘」とも呼ばれます。手首や肘を曲げる動作を繰り返すことで腱が炎症を起こし、肘の内側に痛みが出ます。症状は、肘の内側の痛み、握力の低下、物を持ち上げると痛むことなどが特徴です。治療は、まず安静を保ち、肘や手首に負担をかけないようにします。ストレッチや装具、テーピングで関節をサポートし、薬や注射で炎症を抑えながら電気治療やリハビリで筋力を回復させます。症状が長引く場合は手術が検討されることもあります。
肘関節外側靭帯損傷は、野球などの投球動作で肘の外側の靭帯が引き伸ばされたり断裂した状態です。特に成長期の子どもや、繰り返し強い負荷をかけるスポーツ選手に多く見られます。原因は、投球やスローイングの繰り返しによる靭帯への負荷です。症状としては、肘の外側の痛み、曲げ伸ばしの際の違和感、場合によっては腫れや関節の不安定感が見られます。治療は、安静を保ち、投球や負荷の制限を行いながら、リハビリで肘周囲の筋力や柔軟性を回復させます。重症の場合は手術で靭帯を修復することもあります。
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